「医」について

中学生の肥満度について

2017.2.23.    堀古民生  和泉市立石尾中学校学校保健委員会

[講義内容の要点]
🔴 [中学生の肥満度について]
中学2,3年生女子の肥満度40%以下は肥満とは言わない。ふっくらとし、皮下脂肪が増加することは、お産に備えるためである。過度なダイエットをしてしまうと、骨粗霧症など発症し、かえって危険である。 男子生徒は、肥満度30%を超えると肥満になるため、男子と女子の肥満度基準をしつかりと分けることが大切である。

〇 朝食を食べましょう
朝食欠食率は、全国的なデータでは30%である。それに比べ、石尾中学校生徒の朝食欠食率が19%と非常に低い。朝食を抜くと血糖値が下がって脳の働きが悪くなり、 成績不振に繋がる。また、一過性の低血糖で切れやすい子どもが増えてきている。夜遅く食べると中性脂肪が溜まり、肥満の原因にもなる。

〇 みんなで楽しく食べる事が大切
クラスメイトと同じ食事をとることは、非常に良い。今、問題になっているのが、孤食である。保護者が仕事で夜遅くまで働いていて、 スーパーなどで買ってある総菜を子どもが1人で食べる。 食事の栄養バランスが偏り、嫌いなものを食べなくなる。給食のように、 みんなで食べることによって食事も楽しく、好き嫌いがあってもみんなが食べるから自分も食べるということに繋がる。家族で食事をすることは大切である。

〇 化学調味料(アミノ酸等)多用の問題点
小学校5年生に食育の授業をした際、昆布と鰹節で取った出汁と、化学調味料が主成分の顆粒だしの素で取った出汁との比較試飲をし、どちらがおいしいかと尋ねると、8割の児童が化学調味料入りのほうがおいしいという結果になった。化学調味料[グルタミン酸ナトリウム 原材料名では調味料(アミノ酸)]で味付けされた濃い味の食品の常食は、自然な食品の本来の味がわからなくなる。味覚が壊れることは重大な問題をはらんでいる。

〇 インフルエンザの予防接種について
集団生活をしている場合は、予防接種をしたほうが良い。毎年流行の型が違うので、毎年打っていると抗体ができ効果が出てくる。予防接種は強制的でなく、「ほけんだより」等で予防の方法として指導すること。不摂生や過労で免疫力が落ちるような生活習慣を送っていると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる。

朝ごはんは大切

2017.2.1 堀古民生

朝ごはんを抜く子供が増えている。 
小中学で10%、高校生で20%と言われています。
食べない理由は食べる時間がない、食欲がないが80%みたいです。
夜更し、夜遅くの食事や間食等の生活習慣が原因だと考えられます。
食べていると答えた子供でも、菓子パン、お菓子、ドーナッツ、ジュース程度でバランスの悪い内容が多く見られます。
10年前のデータですが、国立教育研究所が朝食を食べている子供と、食べていない子供の学力テストの成績を比較したところ、見事に平均点に差が出たそうです。
おそらく、朝食べないと血糖値が下がり脳の働きが低下し、答えが出てこない可能性があります。脳のエネルギーの基はブドウ糖だけです。食べていないとブドウ糖はすぐに枯渇し、肝臓にためているグリコーゲンから、ブドウ糖に変えますが、これも沢山はありません。
そうなると、体のタンパク質を壊しアミノ酸へ変えブドウ糖を作るのです。
このことは体にとって大変な出来事になります。体の筋肉のアミノ酸まで動員することにより、飢餓の状態になり摂食中枢が刺激され、食べ物を探す為必死になり、その結果動物本能として攻撃的、排他的に陥り、落ち着いて勉強や、テストを受ける状態でなくなり、情緒が不安定、落ち着きがなく、苛立ち、やがてキレてしまいます。
では、ブドウ糖を沢山蓄える為に、夜にいっぱい食べておけば、朝に食べなくてもいいのではと考えませんか。
答えは×です。肝臓では一度に沢山のグリコーゲンを貯めることができません。余分に摂った糖質は全て中性脂肪になって皮下脂肪、内臓脂肪になりメタボの原因になるだけです。
夜遅くまで起きてゲームやテレビ、メールして朝寝坊で食べる時間がないか,夜遅く食べて
胃がもたれて朝食が食べられないかが大半です。
夜の10時以降まで起きている子供は二人に一人居るといわれています。夜遅くまで起きていては朝ごはんを食べる気持ちにはなれないでしょう。
受験勉強なら仕方ない面もあるでしょうが、夜食を食べる必要のない時間に睡眠をとることが大切でしょう。

風邪とインフルエンザの違い

2017.1.24  堀古民生

風邪とインフルエンザの違いは、究極的には見分けにくいものです。
どちらもウイルスが原因ですので、ただインフルエンザウイルスは突然の悪寒、関節の痛み、高熱そして何とも言えない倦怠感が出てきます。 しかし、人間は一人一人の個性があるように、症状も様々です。 インフルエンザの迅速検査の無い時代は、流行しているか、やはりかなりしんどそうか、周りの人がインフルエンザにかかっているかなどを判断材料で診断していました。

17~8年ぐらい前からは簡易迅速検査が取り入れられ、発症して6時間過ぎれば確実に診断できるようになりました。そこで解ったことは、意外なことでした。37°程度の発熱、すこし体がだるいだけ、でも、職場ではインフルエンザの検査を受けてきなさいと言われたので、ぜひ調べてくださいと希望されることが結構ありました。 初期の頃は私も調べても出るはずがないと検査をしない方が多かったですが、執拗に希望され調べたら陽性に出たことがありました。このことで、今までのインフルエンザの診断が大きくゆらぎはじめました。最近は希望があれば、検査をしています。

結構、インフルエンザとは考えにくい軽い症状でも陽性だったり、これは間違いないと思って検査しても陰性に出たりすることもあります。要するに、人間なんだから、一人ひとり個性の違いは歴然とあるのは事実です。 病気の症状も個体差というか、教科書通りには表れない事に気づかされました。 生きている個体を診察するということは、本当に其の方の個性まで深く切り込んで診察することがいかに大切なことかが解りました。だから却って医療の奥深さが診察して、楽しいというかまじめに取り組むことで本当の医療にたどり着けるものだと思いますし、これからも日々研鑽する必要を肝に銘じて勉強します。

最後になりましたが、風邪とインフルエンザは簡単に見分けられません。 まだ私には勉強不足で偉そうに、これは風邪、これはインフルエンザと簡単に言えない状態です。
 じっくり診察し、よく観察し、最後には検査もきっちりとし診断を下すまでは簡単に結論を出せません。

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