精進料理の素晴らしさ

2017.1.25  堀古民生

昔、北陸の禅宗のお寺 永平寺に行った時の感想ですが、修行中のお坊さんには肥満の方は誰一人としておられなかった印象がありました。 しかし、体は筋肉質できびしい修行にも耐える立派な体格の方ばかりでした。 お寺の中の案内で、禅宗の修行の中でも興味を持ったのはその体を維持する食事の内容に関してでした。
 基本は一汁一菜 多いもので二菜とのことでした。それも完全な精進料理で、肉、魚、卵まで食卓には上らないものだと聞いた時には、本当にそんな食事で修行なんか出来るのだろうかその時は半信半疑でした。 まだ、駆け出しの筍医者の頃の話です。 筍医者とは、まだ藪まで成長していない つまり藪医者にも成れていてない状態の医者の事です。
今は堂々たる藪医者で、まだ藪からは抜け出せていない状態ですが少しは年齢重ね、医業を
生業として食べさせてもらっています。
医療の一環として食の大切さを考えて私なりに食の勉強もはじめました。色んな書物、文献、講演などから少しずつですが知識が増えてきました。
そこで、精進料理にはどんなパワーが有るのか調べたところ、なんと素晴らしい完全食だったのです。米と大豆が基本、そこに野菜,海藻、雑穀、油、ごま油、菜種油、大豆油などが主な材料です。 米と大豆の組み合わせが,何と栄養面で完全食なのでした。更に、発酵技術で大豆の加工が味噌に,醤油に、納豆に、米はお酒に、ぬか漬けに、米麹に、その他多くの食品を作り出してきました。
 人間には必要なアミノ酸は20種類ですが、体で全て作ることはできません、だから食べ物で必要なアミノ酸を取らなければなりません。
 ところが、米と大豆製品だけで20種類のアミノ酸を全て摂取できるのです。無理に肉や魚は取らなくても大丈夫に出来ています。
ここに、一汁一菜の味噌と、野菜が如何に大切かが分るでしょう。 しかし、小麦を主食、パンでは取れないアミノ酸が出てきます。だから肉や魚で補う必要があるのです。
とはいえ 現在では精進料理だけでは食べる楽しみがなくなってきますので、たまにはお肉や造りも食べたいでしょう。その時は一汁、三菜にして楽しむのもありだと思います。
たまにですよ、を強調して、和食の良さ、正しさを 一汁一菜の意味を味わってください。

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