「食」について

主食について

主食について
2020.02.08 土居 成吉  

 我が国では、昔からご飯が主食と言われてきました。食が豊かになった現代においてもそうなのかと、考えていました。
 仲間の人たちと栄養の勉強を続けているうちに、エネルギー産生栄養素バランスということを学びました。私達が生きていくうえで必要なエネルギーを、3大栄養素からどのような割合で摂ればいいのかということです。  
厚生労働省の摂取基準によると、
たんぱく質16.5%  脂質25%  炭水化物57.5%  (数値は目標量の中央値)となっています。
 炭水化物で60%くらいのカロリーを摂るのが良いことがわかります。それなのに、最近では炭水化物をあまり摂らないで、肉などのたんぱく質を多く食べようという情報が多いです。糖質制限ダイエットということもよく聞きます。
 摂取基準を詳しく理解するためには、摂取基準策定検討会報告書を見ることが必要です。その報告書のなかでは、
◎ 高蛋白質食が腎機能に影響を与える。
◎ 低炭水化物食でかつ高動物性食では、糖尿病の発症が多くなる。
◎ 高植物性たんぱく食群では糖尿病の発症が多くなるというような結果は認められない。
◎ 動物性食品の摂取に基づく低炭水化物食群では総死亡率が有意に高い。
◎ 高齢者(65~79歳)は、たんぱく質を16%エネルギー以上とっていると虚弱になるリスクが低くな
る。
との研究報告があります。結論は摂取基準のバランス通りに食事を心がける必要があります。
正しい食を考えるにあたり、食事で最も多く摂らなければいけない炭水化物の質を重視する必要があると思います。日本人が大昔から食べてきた炭水化物は、ご飯です。どのような米を選べば良いでしょうか。
 私の家では、知人が作ってくれている減農薬米を、家庭用精米器で五分搗きにして食べていました。
堀古民生先生から、胚芽に農薬がたまりやすいということを、教えていただいておりましたが、減農薬だからまあいいかと思っていました。そんな時、あるアレルギー専門医から、除草剤が最も怖いということを言われ、勧められた数種の米のなかに「コウノトリ育むお米」というのがあり、とても 気になりました。早速現地確認をした結果、驚きと喜びとでこれだと確信しました。理由は、
①コウノトリの餌となる水棲動物が、田圃に豊富に棲息している。(コウノトリが生きていける環境)
②「JAたじまが」主導している。(信頼性と永続性)
③無農薬栽培に取り組む農家がおよそ100軒、75%減農薬栽培が200軒くらいある。
(近隣の田んぼからの農薬飛散が少ない)
④通常農薬の75%減の農地を合わせるとおよそ470ヘクタールにもなる。
⑤2014年から問題の多いネオニコチノイド系の農薬を使用していない。(減農薬タイプも)
ということです。(ネオニコチノイド系農薬の関連動画 https://www.shizenha.ne.jp/coop/view/127/)
このお米を食べるようになって、より食欲が出てきました。但馬地方の人々に敬意を表して、大切にいただいています。 

出しガラ 命!

2017.12.23   土居 成吉

昆布や煮干しでとった出しには、カルシウムなどのミネラルが多く含まれていると思われがちです。ところが実際にはあまり多くはなく、じつは出しガラに多く残っています。
ミネラルが多くなくても出しを美味しく感じるのは、バランスの良い天然のアミノ酸と天然の核酸から由来するものでしょう。
ミネラルは水に溶けにくいのだと思います。

ひと昔前のほとんどの日本人が煮干しで出しをとり、その出しガラまで食べていたことを見直す必要があります。しかし当時に比べて贅沢になった今、出しガラの食べ方に工夫がいります。
ひと手間かけるだけで、佃煮、ふりかけ、きんぴら、かき揚げ、スナックなどの栄養豊富な一品が出来上がります。
出しガラを利用しやすいことも和風だしの特徴です。

だしバッグのだしの素を選ぶときには、出しガラの量の多い物を選べば良いと思います。
無添加を謳っていても酵母エキスを使っているものは出しガラの量は多くはありません。
顆粒や液体だしの素の殆どは、出しガラなどは出ないと思います。
また、意識の高い飲食店は出しガラをうまく調理して、消費者に啓蒙して欲しいと思います。
本当においしい出しは、出しガラをみるとわかります。

ドベネックの桶〜栄養素のバランス〜

2017.4.26 原案:土居成吉 構成:久保よしみ イラスト:橋本里織

ドベネックの桶と言う概念があります。
桶は何枚もの板を合わせて作られていますが、桶に水を溜める場合、どんなに水を入れても一番短い板のところまでしか水は溜まらず、それ以上は溢れるだけ、と言う考え方です。
このドベネックの桶はいろいろなことに応用できます。
食にあてはめると、アミノ酸のバランス、脂肪酸のバランス、ミネラルのバランスなどです。
栄養素はバランスよく摂取することで人体にうまく働くのであって、どれかの栄養素が不足していたり、また多すぎるのはよくないと理解できます。

これらのバランスを数値化することは非常に困難です。
バランスの良い献立を考えることも難しいです。
そこで大事になってくるのは、バランスの良いものを美味しいと感じとることができる味覚です。
インパクトのある強い美味しさではなく、しみじみと体に沁みわたる満足感のある美味しさを感じるのは、栄養素のバランスが良い食品を食べた時です。
このような美味しさが健康な体をつくるのだと思います。

しかし、化学調味料(アミノ酸等と表示されるもの)や酵母エキスなどで不自然に強いうま味をつけられた食品を常食していると、味覚が壊れて正しい判断ができにくくなります。
味覚は動物が本来持っている生存のための重要な本能です。
味覚という大切なセンサーを機能させるためには、普段から正しい食生活を続けることが必要だと思います。

「リービッヒの最小律」と「ドベネックの桶」について、ウィキペディより抜粋します。
「リービッヒの最小律」
リービッヒの最小律(リービッヒのさいしょうりつ)は、植物の生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響されるとする説。ドイツの化学者・ユーストゥス・フォン・リービッヒが提唱した。
リービッヒは、植物は窒素・リン酸・カリウムの3要素が必須であるとし、生長の度合いは3要素の中でもっともあたえられる量の少ない養分によってのみ影響され、その他2要素がいくら多くても生長への影響はないと主張した。後に養分以外の水・日光・大気などの条件が追加された。
現在では、それぞれの要素・要因が互いに補い合う場合があり、最小律は必ずしも定まるものではない、とされている。

「ドベネックの桶」
リービッヒの最小律を分かりやすく説明するものとして、ドベネックの桶が知られている。
植物の成長を桶の中に張られる水に見立て、桶を作っている板を養分・要因と見立てる。これならば、たとえ一枚の板のみがどれだけ長くとも、一番短い部分から水は溢れ出し、結局水嵩は一番短い板の高さまでとなる。

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