ドベネックの桶〜栄養素のバランス〜

2017.4.26 原案:土居成吉 構成:久保よしみ イラスト:橋本里織

ドベネックの桶と言う概念があります。
桶は何枚もの板を合わせて作られていますが、桶に水を溜める場合、どんなに水を入れても一番短い板のところまでしか水は溜まらず、それ以上は溢れるだけ、と言う考え方です。
このドベネックの桶はいろいろなことに応用できます。
食にあてはめると、アミノ酸のバランス、脂肪酸のバランス、ミネラルのバランスなどです。
栄養素はバランスよく摂取することで人体にうまく働くのであって、どれかの栄養素が不足していたり、また多すぎるのはよくないと理解できます。

これらのバランスを数値化することは非常に困難です。
バランスの良い献立を考えることも難しいです。
そこで大事になってくるのは、バランスの良いものを美味しいと感じとることができる味覚です。
インパクトのある強い美味しさではなく、しみじみと体に沁みわたる満足感のある美味しさを感じるのは、栄養素のバランスが良い食品を食べた時です。
このような美味しさが健康な体をつくるのだと思います。

しかし、化学調味料(アミノ酸等と表示されるもの)や酵母エキスなどで不自然に強いうま味をつけられた食品を常食していると、味覚が壊れて正しい判断ができにくくなります。
味覚は動物が本来持っている生存のための重要な本能です。
味覚という大切なセンサーを機能させるためには、普段から正しい食生活を続けることが必要だと思います。

「リービッヒの最小律」と「ドベネックの桶」について、ウィキペディより抜粋します。
「リービッヒの最小律」
リービッヒの最小律(リービッヒのさいしょうりつ)は、植物の生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響されるとする説。ドイツの化学者・ユーストゥス・フォン・リービッヒが提唱した。
リービッヒは、植物は窒素・リン酸・カリウムの3要素が必須であるとし、生長の度合いは3要素の中でもっともあたえられる量の少ない養分によってのみ影響され、その他2要素がいくら多くても生長への影響はないと主張した。後に養分以外の水・日光・大気などの条件が追加された。
現在では、それぞれの要素・要因が互いに補い合う場合があり、最小律は必ずしも定まるものではない、とされている。

「ドベネックの桶」
リービッヒの最小律を分かりやすく説明するものとして、ドベネックの桶が知られている。
植物の成長を桶の中に張られる水に見立て、桶を作っている板を養分・要因と見立てる。これならば、たとえ一枚の板のみがどれだけ長くとも、一番短い部分から水は溢れ出し、結局水嵩は一番短い板の高さまでとなる。

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